こんにちは。「クロジカスケジュール管理」コンサルティングチームの林です。
建設業においては、営業・設計・施工・監理など多様な部門があります。家やビル、橋や道路など一つの建造物を完成させるためには、これらの全ての分野が関わり合っているといっても過言ではありません。
特に工程管理は重要なプロセスであり、当然のことながら決められた工期までに建造物を完成させることが至上命題ですが、収益を確保するためには、品質や原価の管理をしながら効率的に工事を進める、施工管理が重要になってきます。本記事では、施工管理におけるコミュニケーションに焦点を当てて、その解決策について解説します。
目次
建設業界の2つの課題
建設業界の中でも、ゼネコンといわれる総合建設業においては、一般的に営業・設計・施工・調達・監理・法務・管理など様々な部門に分かれていることが多く、部門間の連携とコミュニケーションが仕事の効率的な遂行に大きな役割を果たします。
都市部のマンション建設などは堅調ですが、公共事業はほぼ横ばいであり、人口減少がますます進み都市部と過疎地域の二極化が進む日本では、建設市場の規模拡大が望めません。
建設業界が適切な収益を確保していくためには、徹底した業務効率化によってコスト削減を進めていくほかありません。
そのために、とりわけ緊急的な対処が必要な2つの課題を以下にあげます。
チーム間での迅速、確実な情報共有
営業・現場共に外出の多い建設業界では、あるプロジェクトに関わるチームのメンバー間での情報共有が確実に行えるかが極めて重要になります。
特に工事を間違いなく進めていくうえで、契約書・設計図書・確認申請書・各種工事許可証などは正確さと期日厳守が求められます。これらの情報共有が確実になされないと、一歩間違えば重大な過失につながりません。
また、工期を守るためには、スケジュールやタスクの進捗管理を厳密に行わなければいけません。施主の都合による工事内容の変更や追加、気象条件による工事の遅れ等に対する臨機の対応といった事態にも、柔軟に対応できなければいけません。
そのためにも、チームのメンバー間、さらには施主である取引先や下請け企業、行政との連携は重要な課題です。
各種書類の共有と効率的管理
工事の実施においては、契約書類をはじめ設計図などの膨大な書類や図面が扱われますが、各種の契約書類を作成、管理する事務作業は非常に複雑ですし、設計図や工程表などは頻繁に変更が行われますが、いまだに紙ベースで行われることが多い状況です。
このようなことから、情報の取り扱いが煩雑になり、手間も増えてしまいます。できるだけコストをかけずに正確かつ迅速にこの問題を解決し、効率化を図ることが必要です。
こうした課題を解決するためには、グループウェアによって正確かつ円滑な情報共有と、書類作成や変更などの書類管理を効率化することが必要です。
施工管理のためのスケジュール管理
施工管理において、工事現場におけるスケジュール管理が要といっても過言ではありません。工事着手前には、まずスケジュールの作成を行わなければなりませんし、下請け会社との契約も済ませておく必要があります。そのうえで個々の工程ごとに職人の配置、重機や資材の手配などの予定を立てなければなりません。
工事が始まったあとは、日々工程通りに現場の作業が進んでいるかを確認する必要があります。しかし、屋外における工事が多いこともあり、天候や予期せぬトラブルによって作業に遅れが発生することも往々にしてあります。
そのようなときには、職人や重機の数を増やして対応するか、スケジュールを見直す必要が生じます。こうしたスケジューリングを的確に行うことが、現場の管理を行うために最も重要な施工管理者の仕事といえるでしょう。
建設現場でのグループウェアの活用
建設業界における課題を解決するために、チーム内での情報共有やコミュニケーションに有力なツールが、グループウェアです。グループウェアを簡単にいうと、クラウドやネットワークを利用してチーム内での情報共有やコミュニケーションを行うことで、業務の効率化を図ることができるソフトウェアです。このグループウェアが、建設業の現場でどのように活用できるかを見てみましょう。
リアルタイムな情報共有
最近では、ほとんどの人がスマートフォンやモバイルPC、タブレットなどのモバイル端末を持っており、どこにいてもネットワークにアクセスできる環境が整っています。営業や現場などの外での仕事が多く、下請け会社との連絡、機材や資材の手配など、機動力がキーとなる建設業界において、モバイルネットワークを有していることが強力な武器となります。
モバイルネットワークを活用し、グループウェアを提供するチームメンバーで共有できる掲示板や個別確認可能なチャット機能を使い分けることで、いつでもどこでもリアルタイムの情報共有が可能になります。
適切なファイル管理による業務効率化
工事現場においては、契約関係書類や設計図書など数多くの書類が作成、使用されています。こうした多くの書類を、作業工程に沿って適切に作成、管理できるかが業務効率を上げる鍵となります。
例えば契約書類には通常決められた形式がありますので、グループウェアのテンプレート機能を利用することによって漏れをなくし、迅速かつ正確に書類を作成することができます。
設計図や工程表などの図面関係では何回も変更が行われることが多いため、混乱が生じたり承認作業の漏れが生じたりしがちです。しかし、グループウェアによって適切にファイリングを行うことで、混乱や漏れをなくすことができます。
さらに、現場管理に欠かせない作業日報や現場写真の添付や整理も系統的に行うことができます。
建設業界におけるグループウェアの導入事例
以下に、建設業界においてグループウェアを導入した2つの事例をご紹介します。一つは、社内の情報共有の推進のため、もう一つは、事業継続計画の有力な手段として、グループウェア活用の強化を図ったものです。
大規模利用に適したグループウェアを導入したX社
X社は、年商1兆5千億円余の規模を誇る老舗企業です。既にグループウェアを導入していましたが、社内で流通する情報量が劇的に増大してきたことで、情報共有の重要性が一層重視され、業務がグループウェアに依存する比率が益々高まってきました。
このようなことから、大規模利用に適した最新のグループウェアを採用することでグループ経営の強化を図ることとし、グループウェアを導入しました。
現在、1万3,000人のグループ社員が利用を開始しており、導入後2か月で回覧・レポート1万2,000通/1日平均を達成しました。今後、さらに2万人規模での活用を予定しています。
事業継続の手段としてグループウェアを導入したY社
1881年創業の老舗であるY社では、事業継続計画の推進を図るためにグループウェアを導入し、1997年までに全ての社員が共通のドメインで活用できる環境を整えました。
このグループウェアの利用は順調に進んだのですが、結果としてサーバーの増設をし続けなければならない、イタチごっこの状態に陥ってしまいました。このような自社内でのサーバー管理の限界から、クラウド型のグループウェアを導入して問題解決を図りました。
*参考 建設業界向けグループウェア比較13選|導入事例やメリット
まとめ|自社に適したグループウェアで競争力強化を
ビジネスにおいて、社内外におけるコミュニケーションの円滑化は避けて通れない課題です。特に、工事現場などの外業の多い建設業界では、営業・設計・施工・調達・監理・法務・管理など様々な部門間のコミュニケーションを迅速、確実に行うことは重要なテーマといえます。
必要な情報やスケジュールの共有を図り、グループ内の意思疎通を円滑にし、業務に関する変更・追加事項を確認することは、時間と手間を要することです。この部分を効率化することで、業務効率を改善し、収益率の向上を果たすことで競争力の強化が実現します。
このための有力なツールがグループウェアなのです。
グループウェアは、全ての社員に活用されてはじめてその価値を発揮します。ですから、自社の規模や組織形態、業務内容などに合ったものを導入する必要があります。そのため、大企業や官公庁向けのエンタープライズ型のグループウェアから、チャット機能に特化したビジネスチャットまで、様々な製品やサービスがありますので、これらを充分に比較検討し、自社にあったものを選択することが必要です。
また、インターネット上にサーバー機能を置くクラウド型か自社でサーバーを保有・管理するオンプレミス型かを決定する必要もあります。グループウェアのメリット・デメリットを押さえたうえで、建設業界のそれぞれの企業が、適切なグループウェアを導入し、業務効率化ひいては競争力強化を図っていくことを期待します。
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