ナレッジマネジメントで業務効率化を図ろう!事例や注意点も解説

2021/01/15

「人材育成が思うように進まない…」「社員のスキルに差があって業務の質にバラつきがみられる…」という問題を抱えていませんか? そういった問題はナレッジマネジメントで解消できます。

ナレッジマネジメントとは知識を有効活用するための手法のことです。この記事ではナレッジマネジメントの基礎知識、メリット、事例、活用時の注意点について説明します。

自社でナレッジマネジメントに取り組む際に役立ててください。

ナレッジマネジメントの基礎知識

まずはナレッジマネジメントの基本的な情報について解説していきます。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントについて理解するために、それぞれの言葉を分解して考えてみましょう。まずナレッジ(knowledge)とは個人が有する知識、経験、ノウハウ、スキルなどの知的な資産、資源のことです。

一方マネジメント(management)とは「運用」「管理」という意味を持ちます。つまりナレッジマネジメントとは、知識を運用・管理すること。

特に企業においては社員によってもたらされる知的資産を共有、活用することで、組織全体の知識レベル向上を図る経営手法をナレッジマネジメントといいます。

「暗黙知」と「形式知」

ナレッジは大きく分けて「暗黙知」と「形式知」の2つに分けられます。

まず暗黙知とは言語や図式による表現が困難な知識やノウハウを指します。暗黙知は個人の経験によって培われ無意識のうちに実践されるものなので説明しにくく、他者への伝達が難しいとされています。

仕事中にミスしてしまい、「次からはこうしよう」と打ち出された改善策も暗黙知の一つです。また職人の世界における「技術を目で見て盗め」という風潮は、まさに暗黙知の典型的な例といってよいでしょう。

一方形式知とは個人の中にとどまる知識やノウハウを言語や図式で表現し、伝達可能な形へと昇華させたものです。例えば仕事の進め方を文書化したマニュアルや、研修での口頭説明などが形式知にあたります。

もし企業において暗黙知が形式知に変換されず社員間での共有がなされないと、組織の知識レベルは社員個人に依存したままです。その状態で優秀な人材が退職してしまったら、いつまでたっても組織内にノウハウが蓄積されません。

社員が持つ情報を有効活用するためにも、目に見えない情報を可視化できるナレッジマネジメントは必要不可欠な手法なのです。

SECIモデル

SECIモデルとは経営学者である野中郁次郎氏らが提唱したナレッジマネジメントの基本的な枠組み、仕組みです。

SECIモデルは以下の4つのフェーズから成り立っています。

  • 共同化
  • 表出化
  • 結合化
  • 内面化

・共同化…個人、もしくはグループで実体験を通して暗黙知を獲得します。

実体験を通した知識の獲得とは、例えば先輩のやり方を真似してスキルやノウハウを習得することを指します。

この段階では知識は言語化されていません。

・表出化…暗黙知を言葉や文章、図表など目に見える形で表現し、他者と共有します。

このプロセスにおいて暗黙知が形式知に変換されます。

・結合化…共有された形式知同士を組み合わせて、新たな知識やノウハウを生み出します。業務の進め方を複数の社員から教えてもらい、自分に適したやり方を選択することで業務をスムーズに進めることができます。

・内面化…獲得した形式知が個人の暗黙知へ転換されるプロセスです。

例えば教わった方法で業務を進めるうちに、自分なりのやり方を確立することなどが内面化にあたります。またマニュアルを用いているのであれば、必要な部分といらない部分を取捨選択し、より効率的に業務を進められるように。

他者から得た形式知に自らの学びを加えることで新たな暗黙知を創造します。

SECIモデルの特徴は伝達された形式知が暗黙知へと昇華され、その暗黙知がまた伝達されて…という好循環が生まれる点にあります。ブラッシュアップされた知識が持続的に共有されることで、社員及び組織全体の知的資産の質が底上げされていくのです。

ナレッジマネジメント活用によるメリット

ナレッジマネジメントが企業にもたらすメリットは以下の2点です。

・人材育成が効率的に
・業務効率化が進む

人材育成が効率的に

ナレッジマネジメントは企業に知識を蓄積させるので、人材育成を効率的に行えます。企業において課題となりうるのが、ベテラン社員から若手社員へのスキルの継承です。

しかし育成体制の整わない環境では十分な新人教育が叶いません。ナレッジマネジメントを活用すれば知識のデータベース化が可能となり情報を引き出しやすくなるため、効率の良い人材育成が実現します。

業務効率化が進む

ナレッジマネジメントは個人やグループにおける業務効率化を促進します。例えば、ある部署で既存システムの効率的な使用方法が編み出されたとしましょう。

一方で同じシステムを導入している別の部署では非効率的な使い方のまま業務が進められることに。

もし効率的な方法が共有されなければ無駄なコストがかかってしまい、企業にとっては大きなロスとなってしまいます。

部署同士が連携をとり情報を受け渡すことで有益な情報が浸透し、組織単位での業務効率化につながります。同じやり方を共有することで業務が標準化され、作業品質が向上するというメリットも。

ナレッジマネジメントによる業務効率化の事例

ここからはナレッジマネジメントを活用した結果、業務効率化を実現した企業の事例を3つ紹介します。

広告代理店の事例

諸外国に多くの支店を有するA社では、海外企業との競争力を高めるため市場拡大、サービスの多様化などに力を入れていました。しかし業務に関する知識や経験が全社員に行き渡っておらず、長年に渡り培われてきた知識資産が活かされていないという事実に直面。

現状のままでは激しくなる競争に打ち勝てないと判断し、社員間での知識の共有、活用を目的としたナレッジマネジメントを開始しました。プロジェクトを立ち上げて資料を全社員が閲覧可能な文書ライブラリー、顧客情報のデータベース、業務手順やマニュアルをオンラインで確認できるシステムなどを構築しました。

社員がシステムを積極的に利用してくれるかが最大のポイントでしたが、経営者自ら社員にプロジェクトのメリットを説明して参加を促す特別プレゼンテーションを実施することで社員の意欲が向上。

その結果システムの利用率も高まり、情報検索にかかる時間の削減、顧客へのサービス品質が向上などの効果が表れるように。また知識や経験をデータベースへ投稿して共有する仕組みを作り、業務へ貢献した個人を褒め合う文化を築くことで社員間のコミュニケーションも活発になりました。

化学会社の事例

B社では知識資産の活用は一時的なものではなく、継続的に行われるべきという考えに基づいたナレッジマネジメントを日々の業務に取り入れています。

そのためB社ではすべての企業活動をプロジェクトごとに分けるという独自の組織体制を築き、必要なナレッジをメンバー同士で話し合ってプロジェクトシートを作成。プロジェクトを成功させようという共通意識やメンバー間の信頼関係を構築できるため、活動の質が大幅に向上した、という声が多く上がっています。

またB社では離れた拠点にいる社員同士がミーティングを行うという光景がよく見られます。これは社員自身が積極的にコミュニケーションをとることで知識の獲得、発信が意欲的に行われていることを示しています。

B社の組織的な取り組みはユニークで取り入れにくい部分があるかもしれませんが、統一したコンセプトでナレッジマネジメントを行う、という点は参考にすべきポイントでしょう。

コンサルティング会社の事例

コンサルティング業界では知識の活用が重要視されるにもかかわらず、離職率が高い、研修に時間がかかってコンサルタントの育成が進まず、社内で知識が蓄積されないという問題を抱えていました。

コンサルティング業界でトップを走るC社もそういった問題に悩まされていたため、より良い人材育成を目的としたナレッジマネジメントを開始しました。

具体的な取り組みとして挙げられるのは、ベテランコンサルタントが自らの知識と方法論を共有できるような知識データベースの構築です。データベースを参照することで新人コンサルタントの知識獲得がスムーズに進み、人材育成が効率良く行えます。

こういった取り組みにより利益率が年40%成長、販売期間が2倍短縮、営業活動の成功率が40%に上昇という効果がありました。また人材教育の成果として、クライアントへのサービス品質も向上しています。

ナレッジマネジメント活用時の注意点

最後にナレッジマネジメントに取り組む際の注意点を説明します。以下の2点に留意すれば円滑なナレッジマネジメントが実現するはずです。

効果が表れるのに時間がかかる

ナレッジマネジメントは開始してからすぐに望む効果を得られるわけではありません。今までとは異なる体制を整えていくことになるので、通常の業務に加えて作業が増えてしまう社員が出てくる可能性も。

社員へのフォローを忘れず、時間をかけて取り組む必要があります。またナレッジの共有に抵抗のある社員にはメリットを説明したり、取り組みに参加しやすいシステムを作ったりといった工夫も必要です。

社員の理解と協力があればマネジメントの成功はより加速しますが、そのためには経営者などの上層部による積極的な関与が求められます。経営者自らが社員に働きかけることで、ナレッジマネジメントが組織的な改革であることを理解してもらいやすくなるでしょう。

ツールを用いると費用がかかる

ナレッジマネジメントのために専用ツールを使用する場合は、費用がどれだけかかるのかに注意しましょう。多機能なものを使えばそれだけ費用がかさみ、長期的な運用が難しくなってしまいます。

また機能が豊富だと使い方が複雑だったり使わない機能があったりと、せっかくのツールを持て余してしまう可能性も。実際はエクセルなど簡単なツールで十分だった、という結果に落ち着くかもしれないので、マネジメントの規模とツールの機能を照らし合わせて費用対効果をよく考える必要があります。

ナレッジマネジメントで業務効率化を図ろう

ここまでナレッジマネジメントの基礎知識、メリット、事例、注意点について説明してきました。ナレッジマネジメントを活用すれば業務効率化が進み、ひいては企業の競争力向上につながります。

国内だけでなく海外市場への展開を考える企業にとっては、競争力の低下は是が非でも避けたいもの。ナレッジマネジメントを正しく運用できれば、埋もれていた知的資産を有効活用できる体制が整うでしょう。

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