
日本では、多くの企業が「ジョブローテーション」を取り入れています。ジョブローテーションは、人材育成を始めとした多くのメリットが得られる有力な手法です。しかし、この言葉について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
ジョブローテーションには、メリットだけでなくデメリットも存在します。ジョブローテーションを成功させるためには、しっかり理解を深めることが大切です。そこで本記事では、ジョブローテーションの基礎知識やメリット・デメリットについて解説します。
目次
ジョブローテーションとは?
ジョブローテーションとは、企業が人材を育成するために社員の異動・転勤を定期的に実施することです。ただ単に社員の配属先を変更するのではなく、企業の将来を見据えた人事戦略が根底にあります。様々な業務を社員に経験させることでスキルの幅が広がり、全社的なスキルアップにつながるのです。
労働政策研究・研修機構が2017年に発行した「企業の転勤の実態に関する調査」によると、ジョブローテーションを実施している企業は全体の約53.1%にものぼります。多くの企業がジョブローテーションの必要性を認識していることが分かります。
ジョブローテーションにより配置転換を行う頻度は、企業により様々です。1年未満で配置転換する企業もあれば、5年以上配置転換しない企業もあります。
ジョブローテーションを実施する4つのメリット
ジョブローテーションを多くの企業が実施しているのは、主に4つのメリットがあるためです。各メリットについて、順番に解説します。
メリット1:人材の育成につながる
ジョブローテーションを実施する最大のメリットは、やはり人材の育成につながることです。様々な業務を経験することで幅広い知識やスキルが身に付き、社員のレベルアップが期待できます。また、1つのチームの価値観だけにとらわれず、多角的な視点を持てるのも大きなポイントです。
なお人材育成のメリットが得られるのは、新入社員・若手社員だけに限りません。中堅~ベテランの社員にジョブローテーションを実施すれば、幹部候補社員の育成にもつながります。ジョブローテーションは、企業の目的に合わせて実施することが大切です。
メリット2:社員の適性が分かる
どんな社員にも、得意・不得意はあります。「適材適所」という言葉があるように、最適なポジションでこそ社員の生産性は最大化します。しかし、ずっと同じチームで仕事をしていると、そこが本当に自分に適したポジションなのかは分かりません。
その点ジョブローテーションを実施すれば、様々なポジションを経験することで、社員の得意・不得意が明確になります。人事担当者が社員の適性を把握できることはもちろん、社員自身も「やりたい仕事」を見つけられるのです。結果として社員の配置を最適化でき、全社的な生産性向上が期待できます。
メリット3:「属人化」を防止できる
ジョブローテーションは、「属人化」の防止につながるメリットもあります。属人化とは、社員と業務の依存関係が強まり、ある業務を特定の社員しか遂行できなくなる状態のことです。属人化が起きると、社員が急遽不在になった場合などに穴埋めが利かず、業務に大きな支障が生じてしまいます。
その点ジョブローテーションを実施すれば、社員が幅広い業務のノウハウを習得することが可能です。いわゆる「ジェネラリスト」が増えることで、仮にある社員が不在になっても代理社員を比較的容易にアサインできます。結果として、不測の事態に強い組織づくりにつながるでしょう。属人化について詳しくは、次の記事をご覧ください。
メリット4:全社的に交流が深まる
ずっと同じチームで仕事を続けていると、関わりを持つ社員はどうしても限定されてしまいます。チームを越えた交流が生まれにくいため、信頼できる社員がチーム内にしかいない、ということも多いでしょう。チーム内の人間関係が上手くいかないと、誰も頼れず退職につながるケースも。
その点ジョブローテーションを実施すれば、1つのチームに限らず様々な社員と交流できます。全社的な交流が深まることで、モチベーション向上や離職率低下が期待できるのもメリットです。特に若手社員にとっては、多くのチームで頼れる上司を作っておくことが、精神的な負担軽減につながるでしょう。
ジョブローテーションを実施する2つのデメリット
ジョブローテーションには、メリットばかりではありません。2つのデメリットについても把握しておきましょう。
デメリット1:専門性を高めにくい
ジョブローテーションはジェネラリストを育成しやすい反面、1つの分野に特化したエキスパートの育成には適していません。当然ながら1つの業務を長くこなし続けた方が、専門性は高まります。よって、配置転換のタイミングが早すぎると、かえってスキルアップのチャンスを奪ってしまうこともあるのです。
「今のチームで専門性を高めたい」と考えている社員からは、異動させられることで企業への不満が高まることも考えられます。スキルの習得に長い期間を要する業務であれば、すぐにジョブローテーションを実施するべきではありません。
デメリット2:人件費がかさみやすい
ジョブローテーションにより配置転換を行えば、社員の指導を一からやり直さなければいけません。指導を省力化するためにマニュアルを用いるとしても、やはり作成の手間がかかります。それに加えて、人事担当者の管理上の負担も大きくなるでしょう。
このように、ジョブローテーションを実施する上で、人件費がかさみやすいのもデメリットです。多くの人件費をかけて育成した社員が退職となってしまえば、企業の損失は大きくなります。ジョブローテーションを実施する際には、対象社員の適切なケアや、人件費を抑えるための施策が必要です。
ジョブローテーションを成功させるなら「グループウェア」がおすすめ
今回は、ジョブローテーションの基礎知識やメリット・デメリットについて解説しました。
ジョブローテーションには人材育成だけでなく、属人化の防止などの様々なメリットがあります。その一方で専門性を高めにくい、人件費がかさみやすいなどのデメリットも。こうしたメリット・デメリットを把握して、企業に合った形で取り入れることが大切です。
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ジョブローテーションには、オンラインでマニュアルを作成できる「社内Wiki」や、離れた相手と手軽に意思疎通できる「ビジネスチャット」が便利です。ジョブローテーションで避けては通れない引継ぎ作業を効率化し、人件費削減につながります。ジョブローテーションを成功させたい方は、ぜひグループウェアをご導入ください。
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