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建設業界のデジタル化が進まない理由
さまざまな業種でデジタル化が進む中、なかなか進んでいかないのが建設業界です。業界の構造的問題も抱えており、デジタル化を進めるにあたりどうしても厳しい面を持っています。その反面、早い段階からデジタル技術を使ってきたのも建設業界です。一体どこに進まない理由があるか明確にすることが、これからの建設業界を変えるポイントになるでしょう。
建設業界の現状
建設業界は社会と密接な関係があります。オリンピックなどがあればバブルと呼ばれるほどの盛況を見せますし、災害などがあれば被害を受けたインフラの復旧などに集中する業界です。景気にも左右されやすい側面がありますが、社会的にもなくてはならない業種といえます。
業態的に肉体労働と呼ばれることもありますが、基本的にマンパワーを生かしていくのが特徴です。人間に代わってロボットの導入なども急がれてはいますが、手に付けた技術や判断力、経験といった部分に高い比重がかかります。このような部分はロボットで実現できておらず、デジタル化が叫ばれてもなかなかうまくいっていません。
デジタル化が進まない現状であっても、日本の少子高齢化の波はやってきました。出生数は過去最低レベルとなり、総人口も減少している状況です。この影響は建設業界でも変わりません。マンパワーが重要な建設業界は、少子高齢化により技術の継承すらままならない状況となったのです。ほかの業界と同じように深刻な人材不足となり、新たな手段を講じなければいけないところまで追い込まれてきました。
建設業界と社会事情
日本の社会的にみると、インフラの老朽化が進んでいます。高度経済成長期に一気に工事が進んだからです。その後、整備を進めたものの限界を迎えているものも多く、メンテナンスだけではなく大規模な再整備も必要となってきています。
その半面、工事に費用を掛けることに対する批判も集まりました。建築に対する名称として使われる物箱モノに対する批判も多く、国政としても建設業界を縮小する動きもあったのです。ここで技術の継承の道が大きく断たれました。建設業界の技術は1人前になるまで20年などざらにかかります。一度でも縮小すれば技術継承は簡単に断たれてしまうのです。
さらに人口の減少と悪影響は続き、社会的に見ても建設業界はデジタル化が進まない理由を大きく抱えることとなりました。
それでも点検やメンテナンスは行わなければなりません。少しでも省力化して対応する方向性は持っていても、効率化はほかの業種ほど簡単ではなかったのです。高い技術を投入しても対応できる人材育成が間に合わず、賃金の維持もできなくなってきている社会事情も大きく影響しています。
長時間労働問題と進まない理由
建設業界といえば、長時間労働の問題が常にかかわってきました。人材不足から起こる長時間労働の問題は、どの業界でもデジタル化が進まない理由として大きな壁になっているのです。建設業界では、事情も少し異なります。人材不足の背景にあるのは、技術的問題もあるからです。
建設業界は職人化が進みました。つまり、経験が不足していると工事の進捗が伸びません。人を投入すれば進捗をカバーできるとは建設業界では限らないのです。この背景にあるのは3Kなどの評判の壁でした。きつい・きたない・給料安いのローマ字にしたときの頭文字を集めて3Kと呼ばれます。重労働に見合わない労働環境と呼ばたことで、建設業界は若い人材を集めにくくなり技術の継承はさらに難しくなったのです。これが給与などの悪循環にもつながっています。
結果として長時間労働が常態化したことをカバーするためにデジタル化の導入が進められましたが、対応できる人材も確保できません。なぜならば、職人の高齢化も進んでいるため、デジタル化した技術を理解しにくい状況が進まない理由として隠れているからです。
投入したい側から見ると簡単に見えても、これまでやってきたことと真逆の位置にあるデジタル化を受け入れる体制を作るのは容易なことではありません。投入したい側は、実際に建設業界の中にいた人とは限らないでしょう。こうしたことはデジタル化できると考えても、現実との乖離が大きく建設業界の持つ進まない理由としても壁となっているのです。
建設業界の持つ進まない理由を乗り越えられるのか
建設業界は、IT化が全く進んでいないわけではありません。実はほかの業界と比較しても、かなり早い段階から投入し浸透している部分もあります。大事なポイントは、どこがデジタル化できるのか、技術の継承など人と人とのつながり以外の部分にも目を向けなければいけません。
建設業界とIT化
建設業界でいち早くIT化が進んできたのは、図面などのデータを作成する部門です。早い段階からコンピューターを投入し、デジタル化した図面を作り出してきました。これは手書きよりもスピードがあり、情報の共有が早くなるからです。
特に重要なのは、元請けなど現場の上流側でデジタル化できることでした。大学などで勉強する過程にデジタル化した図面の作製といったカリキュラムを挟むことで、技術の浸透が進んできたのです。もちろん、対応できない部分が残り、元請けが費用を出して勉強を後押しすることも行われてきました。切り替えはバブル期に一気に進み、現在でも図面のやり取りにインターネットを活用するなど、図面のデジタル化によるペーパーレスも早い段階から進められてきたのです。
工程管理のデジタル化
図面と同時に進んでいったのが工程管理のデジタル化でした。建設業界ではガントチャートを活用しているのはよく知られていますが、多くの人に印刷した情報を渡すために、パソコンを使って作成が進められました。現在もスケジュール管理の一環としてデジタル化がすすめられています。現場内でのスケジュール管理を進めやすくなり、誰もが見やすい状況を作ったのです。
さらに技術は進み、スケジュール管理などもデジタル配信されることも増えてきています。紙媒体のままでは手渡しや郵送しなければ手に届きませんでした。これでは時間もかかり効率が悪かったため、インターネットの活用が進んだのです。ほかにも見積もりや契約書、請求書などのデジタル化も進んでいます。
建設業界で期待されるIT化の道
建設業界でもさまざまな部分がIT化できるのではないかと模索されています。マンパワーの部分でもIT化ができるのかではないかとされてきました。
ロボットの投入はこれまでもよく知られていますが、AIの進歩はすさまじいものがあっても技術の継承などのレベルには程遠い世界です。そこで人間が操縦するロボットや力をサポートするような技術の投入が進んできました。この情報もIT化のひとつであり、新たな効率化を目指す方法として研究が進んでいます。
これからも進む建設業界でのIT化
建設業界のIT化は非常に難しいところを持っているのは確かです。マンパワーの部分が難しいのは事実ですが、もっと別の部分での効率化はどんどん進められてきました。タブレットを持って現場でデジタル化した図面の展開やスケジュール管理と連動した工程チェックなどは代表的なことになるでしょう。この情報もリアルタイムで更新できるため、効率はどんどんと高まってきています。
IT化を進める国土交通省のプロジェクトも取り組まれるようになりました。建設業界の社会的重要性がわかる部分ともいえるでしょう。進まない理由もいくつもあ
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